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【二王門(重要文化財)】
1637~1644年にかけて建立された、仁和寺の正面に建つ入母屋造、本瓦葺の門です。
18.7mの高さの重層構造で、全体を眺めようと思うと道を挟んで遠くから見ないといけない程の大きさで迫力満点です!
門正面の左右には阿吽の二王像、後面には唐獅子像が安置され、建築形式は平安時代の伝統である和様で統一されています。
この二王門だけでも満足してしまう程見ごたえ抜群です(^^)
阿吽=寺院の門に安置される二王や狛犬などの相のことで、口が開いている方を阿形、閉じている方を吽形と言います。
和様=日本在来の様式。鎌倉時代(1185~1333)の大仏様・禅宗様建築に対し、奈良時代(710~794)に中国から移入された系統の建築様式のことです。
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【勅使門】
1913年に京都府の技師であった亀岡末吉によって再建されました。
檜皮葺屋根の四脚唐門で前後が唐破風、左右の屋根が入母屋造となっています。
また、細部にまで伝統的和様に亀岡独自の意匠が取り入れられていて、鳳凰の尾羽根や牡丹唐草、宝相華唐草文様や幾何学紋様などの彫刻装飾はとても美しく、見応え抜群です(^v^)
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【中門(重要文化財)】
五重塔や観音堂などの伽藍の中心部に向かう入口にあたる門で、切妻造・本瓦葺・柱間三間の八脚門、側面の妻部には二重虹梁蟇股が飾られていて、二王門と金堂の中間にあります。
門に安置されているのは仏法の守護神で、向かって左側が西方天、右側が東方天です。
西方天と東方天の足元をよく見ると邪鬼を踏んでいるのが見えます!
とても頼もしいですね。
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【五重塔(重要文化財)】
1644年に建立された、上層から下層にかけて各層の幅にあまり差が見られない姿が特徴的な、総高36.18mの塔です。
重厚な佇まいをしていて、その高さも相まって迫ってくるような迫力があります(◎o◎)!
最下層の西側には大日如来を示す梵字の額が懸けられ、内部には大日如来が、その周りに無量寿如来など四方仏が安置されています。
また中央に心柱があり、心柱を囲むように四本の天柱が塔を支えていて、その柱や壁面には真言八祖や仏をはじめ、菊花文様などが細部にまで描かれています。
心柱=仏塔などの中心に立てる柱。
天柱=天井が落ちないように支える柱。
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【金堂(国宝)】
仁和寺の本尊である阿弥陀三尊を安置する御堂で、現在の金堂は1613年に造営された内裏紫宸殿を、1624~44年に移築してきたものです。
現存している中で最古の紫宸殿であり、当時の宮殿建築を伝える建築物として国宝に指定されています。
その姿には積み重ねた歴史を感じ、威風に満ちていて圧倒されてしまいます。
堂内には四天王像や梵天像が安置され、壁面には浄土図や観音図などが極彩色で描かれています。
紫宸殿=御所の中心的建物。
宮殿建築=天皇が使用する建物の総称。
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【経蔵(重要文化財)】
寛永~正保年間の建立で、建物は禅宗様で統一されています。
内部は釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩など六躯が安置されていて、壁面には八大菩薩や十六羅漢が描かれています。
内部中央には八面体の回転式書架(輪蔵)が設けられ、各面に96箱の総計768の経箱が備えられていて、その中には天台宗の学匠であった天海による『一切経』が収められています。
768もの経箱とはすごい数ですね!
代々の仏教徒たちの熱心な信仰が垣間見えます。
禅宗様=鎌倉時代(1185~1333)、禅宗と共に入ってきた宋の建築様式。
書架=本を並べて置く棚。本棚。
一切経=釈迦の教えを文字とした経蔵、教団の規律を律蔵、後世の仏教徒が演繹 (えんえき) 注解した論蔵、その他注釈書を含む経典の総称。
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【九所明神】
仁和寺の伽藍を守る社で、『御室相承記』に1212年に境内南にあったものを東に遷宮した事が書かれていて、現在の建物は1641~1644年にかけて建立されたものです。
社殿は本殿・左殿・右殿の三棟あり、八幡三神を本殿に、東側の左殿には賀茂上下・日吉・武答・稲荷、西側の右殿には松尾・平野・小日吉・木野嶋の計九座の明神が祀られています。
また各殿の正面には、1644年に建立の織部形石灯篭が建てられています。
周囲は林になっていてとても雰囲気があり、時代劇の撮影にもよく使われます(*^▽^*)
伽藍 = 僧侶が仏道の修行をする、清浄閑静なところ。
織部形石灯篭(織部灯篭) = 安土桃山時代(1568~1603)の茶人、古田織部が創案した灯篭。
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【鐘楼(重要文化財)】
江戸時代初期に建立され、階上は朱塗で高欄が周囲を廻り、下部は袴腰式と呼ばれる袴のように裾が広がる形状の板張りの覆いが特徴的です。
入母屋造、本瓦葺の大きな屋根から、それに比例したかの様に広がった裾の輪郭が美しく、華やいだ印象を与えます(●^o^●)
また、通常吊られた鐘は外から見ることが出来ますが、この鐘は周囲を板で覆われていて見ることが出来ません。
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【水掛不動尊】
近畿三十六不動霊場の第十四番札所です。
鐘楼と御影堂の間の位置にあり、石造の不動明王が安置され、その周りは井戸になっています。
長い柄杓から水を汲んで、不動明王に静かに掛けて祈願しましょう。
このように水を掛けることから水掛不動とも呼ばれています。
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【御影堂(重要文化財)】
鐘楼の西の位置にあり、弘法大師像と宇多法皇像、仁和寺第2世性信親王像が安置されています。
現在の御影堂は、1596~1615年に造営の内裏清涼殿の一部を賜って1624~44年に再建されたもので、蔀戸(しとみど)の金具なども清涼殿のものが利用されています。
檜皮葺が用いられていて、弘法大師が住む落ち着いた印象の仏堂です。
清涼殿=内裏の殿舎の一つであり、天皇の日常生活の居所。
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【観音堂(重要文化財)】
1641年から1644年にかけて建立された、入母屋造の本瓦葺で前後に向拝が付いている、軒までが高い建物です。
千手観音菩薩を本尊とし、脇侍として不動明王・降三世明王、その周りには二十八部衆が安置され、須弥壇の背後や壁画、柱などには、極彩色で仏・高僧が描かれています。
残念ながら内部は通常非公開となっていますが、現在も仁和寺に伝わる法流の相承などに使用されています。
須弥壇=本尊等の仏像を安置するために一段高く設けた場所。須弥山に由来する。
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【金剛華菩薩像(花の仏様)】
済信塚と霊宝館の間にある金剛界曼荼羅の金剛華菩薩の像で、左手には宝相華を盛った器を持ち、右手で器をはさむような姿をしています。
仏典(大日経疏)では「花は是れ慈悲より生ずる義」と説かれていて、花は仏様の本誓であり慈悲と愛と和の象徴です。
この仏様の雰囲気は柔和で、表情も慈愛に満ちていますね(*^_^*)
仁和寺門跡が家元の御室流華道の門人の心の拠り所として、花の仏様である金剛華菩薩像を祀って草花の生命を供養すると共に、華芸の上達を願って流祖宇多法皇1050年御忌法要の記念事業として、1981年に安置されました。
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【霊宝館】
仁和寺の創建当時の本尊である阿弥陀三尊像をはじめ、仏画・経典など多くの宝物が所蔵されています。
その数は国宝12件、重要文化財47件、古文書類をあわせると数万件にも及びます。
霊宝館はこれらの膨大な数の所蔵品を展示・保存するための施設で、春季と秋季には毎回テーマが決められた展示がされています。
貴重な文化財を見ることが出来るので、展示期間中は是非見に行ってみることをおすすめします(*^▽^*)