六角堂(紫雲山頂法寺)
六角堂(紫雲山頂法寺)
ろっかくどう
《聖徳太子沐浴の古跡》
太子堂の西側、池の中にある石でできた井筒は、聖徳太子沐浴の古跡と伝えられる場所です。
当時このあたりにあった池に太子が入り、身を清めたと伝えられます。
その池のほとり、現在の池坊会館(11階建てのビル)の位置に僧侶の住坊が建てられ、池坊と呼ばれるようになりました。
現代の境内整備事業で池がよみがえり、白鳥や鯉が泳いでいます。
《へそ石》
山門をくぐると、右前方の敷石の中央に、中央にまるい穴があいた六角形の石があります。
門前の六角通りにあったものを、明治時代初期に門内へ移したもので、六角堂が京都の中心とされたことから、体の中心であるへそになぞらえて「へそ石」と呼ばれています。
また、平安京造営時、本堂の位置に道を通すために祈ったところ、堂が少し北の現在地へ移動し、もとの位置に石が一つ残ったという伝説から、「本堂古跡の石」ともいいます。
《礎石》
池の中にあるこの礎石は、六角堂境内の発掘調査により天明八年(1788)の正月に焼失したと見られる遺構面から出土したものだそうです。
正方形に近い刳型があり、根石組に使われていた状態から十六世紀前後に立っていた六角堂の礎石と考えられているそうです。
六角堂は古くから数多くの霊験、霊夢の伝えがあり、広く内外の信仰を集め、また、いけ花発祥の地として技芸とのかかわりが特に深いところです。
《鐘楼》
山門の外側、六角通りを隔てた飛地境内に鐘楼が建っています。(山門を出て右前)
戦国時代、京都に戦乱の危機が迫ると、六角堂の鐘がつかれたという記録があります。現在の位置は江戸時代初期までさかのぼることができ、周辺の町の人々の信仰を集めた六角堂の特徴をよく表しています。
鐘は第二次世界大戦時の金属供出で失われましたが、昭和29年(1954)に再鋳されました。
平成31年(2019年)3月、本堂及び拝堂とともに京都市指定有形文化財に指定されました。
《いけばな資料館》
池坊会館の3階にあり、いけばなに関する貴重な歴史資料や、華道家元池坊が住職を務める六角堂(頂法寺)の什物などを、常時展示されています。
展示資料には、花伝書、花器、いけばなの絵図、六角堂の古文書、歴代住職の肖像画、池坊会館建設にともなう発掘調査の出土品などがあります。
時代の流れに沿った展示のほか、特定のテーマに基づく展示コーナーも設けており、年に一回展示替えがおこなわれています。